ロング・グッドバイを読んだ

軽装版が店先に並んでいたので買った。レイモンド・チャンドラーの作品ははじめて読んだ。

読んでいて、すごく不思議な気持ちになった。まるで村上春樹の書き下ろしを読んでいるような気持ちになった。これはほんとうに翻訳なのか?と疑いたくなるくらい。あとがきを全て読んで、これは村上春樹のひとつの原点なんだろう、と納得した。


ロング・グッドバイ」は、「羊をめぐる冒険」と「ダンス・ダンス・ダンス」に似ている気がした。
主人公がいろいろなものに小突きまわされる。主人公は中心にいるけど、なにも知らない。そして自分の信念をどこまでも貫く。その他にも類似点はたくさんある。勝手なこじつけかもしれないけど、少なくとも僕はそう感じた。どちらもとてつもない金持ちが出てくるし、テリーは五反田くんのように思えた。

シンプルに表現すると、とにかく面白かった。読み応えががっつりあって、マーロウがどこまでも格好良かった。最初から最後まで、ハードボイルドだった。
村上春樹の翻訳は、そんなに多く読んでいない。最近のものは大体読んでいるけど、10年以上前に翻訳されたものはほとんど読んでいない。「グレート・ギャツビー」と「ロング・グッドバイ」は、何度も読み返すことになるかもしれない。



ロング・グッドバイ」が面白かったので、「さらば愛しき女よ」と「プレイバック」も読んだ。
両方とも面白かった。なにより文体が気に入った。「さらば愛しき女よ」も村上春樹の翻訳で「さよなら、愛しい人」として04/14に刊行される。いまから楽しみだ。