抽象的な工場

Java言語で学ぶデザインパターン入門」を読んでいて、Abstract Factoryパターンの章に以下のような文章があった。

抽象的な工場では、抽象的な部品を組み合わせて抽象的な製品を作ります。
「やれやれ、いったい何を言っているんだい?」…

増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門

これを読んで、これらが頭に浮かんだ。

象徴的な夢があり、そんな夢を象徴する現実がある。あるいは象徴的な現実があり、そんな現実が象徴する夢がある。象徴はいわばいとみみず宇宙の名誉市長だ。

羊をめぐる冒険(文庫版 P.109)

「昔むかし」とある哲学者が書いている。「物質と記憶形而上学的深淵によって分たれていた時代があった」
1969/1982年のイパネマ娘は形而上学的な暑い砂浜を音もなく歩き続けている。
<中略>
「君は年齢をとらないんだね?」
「だって私は形而上学的な女の子だもの」
<中略>
「足の裏が熱くない?」
「大丈夫よ。私の足の裏はとても形而上学的にできているから。見てみる?」
「うん」
彼女はすらりとした足をのばいて、足の裏を僕に見せてくれた。それは確かに素晴らしく形而上学的な足の裏だった。僕はそこにそっと指を触れてみた。熱くもないし、冷たくもない。彼女の足の裏に指をそっと触れると、微かな波の音がした。波の音までもが、形而上学的だ。

カンガルー日和(文庫版 P.88)

「中間的なものが存在しないところには、中間も存在しない」と僕は言った。
「そう、中間的なものが存在しないところには、中間も存在しないの」
「犬が存在しないところには、犬小屋が存在しないように」
「そう、犬が存在しないところには、犬小屋が存在しないように」と島本さんは言った。

国境の南、太陽の西(文庫版 P.232)

抽象的な工場では、抽象的な部品を組み合わせて抽象的な製品を作っている。
抽象的な夢があり、そんな夢を具象する現実がある。
抽象的な女の子は、年齢をとらず抽象的な足で抽象的な砂浜を歩いている。
抽象的なものが存在しないところには、抽象も存在しない。


Java言語で学ぶデザインパターン入門」と合わせて読みたい村上春樹


まったく関係ないけど「ロング・グッドバイ」を読み終えた。
とてもよかったので、そのうちblogにも書きたいと思っている。
なんだか村上春樹の作品が読みたくなってきたー。

増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門
結城 浩
価格:¥ 3,990