とかげ

よしもとばななの「とかげ」を読了した。
先日、吉本隆明さんが亡くなりましたね。彼の文章をまったく読んだことないけど、その功績の一端は耳にする。今度なにか読んでみたい。


この小さな小説が、けっこう好きでたまに読み返す。「大川端奇譚」の、この一節がとても好き。

「だいたい、失礼だけど、一度でも寝れば、どのくらい経験があるかわかるものだよ。」
彼は行った。
「わかったの?」
私は笑った。
「わかるよ。普通の回数ではないってことが。はじめのときにわかったよ。」
彼は言った。
私は本当に言葉を失い、世の中は私があれこれ考えているから動いているのではなく、おおきな渦巻きのなかに私もこのひとも誰も彼もがいて、何も考えたり苦しんだりしていなくてもただどんどん流れては正しい位置に注ぎ込まれていくのかもしれないと思った。
自分が世界の中心だと思っていた世界からわずかに一歩をはずした瞬間だった。

とかげ

「血と水」は、「ハチ公の最後の恋人」に繋がるような気がする。「ハチ公の最後の恋人」もけっこう好き。やっぱりこのままよしもとばななをしばらく読みそう。「デッドエンドの思い出」も読み返したいな。


とかげ (新潮文庫)
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吉本 ばなな
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