うたかた/サンクチュアリ

よしもとばななの「うたかた/サンクチュアリ」を読了した。「キッチン」と同じように、昔から読んでいる好きな作品のひとつ。
キッチンもそうだけど、これも福武書房の文庫で、手元にあるのは 1995年5月25日 第20刷発行 となっている。きっとはじめて読んだときは、「うたかた」の鳥海人魚よりも若かったはず。
僕は「うたかた」より「サンクチュアリ」のほうが好きだ。どん底から、ちょっとずつ、ちょっとずつ這い上がっていく感じ、その過程が心を打つ。


よしもとばななの文章は不思議な強さが、重さがある。
サンクチュアリは、大切な人が死んで悲しくて、でも同じような状況の人と出会って、話しているうちに仲良くなって、ちょっとずつ元気になっていく物語。よくありそうな感じでしょう。
でも他の作品とは、何かが決定的に違う。その違いはなんだろう、と思って、読み返してしまうのかもしれない。村上春樹のインタビューでも、同じようなことが書いてあった気がする。読みやすいけど、わかりやすいわけじゃない。だから何度も読み返してしまう、みたいなことが。


うたかた/サンクチュアリ (新潮文庫)
吉本 ばなな
新潮社
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