流しのしたの骨

江國香織の「流しのしたの骨」を読了した。何度も読んでるけど、ここ最近、ここ数年は読んでいなかった気がする。


江國さんの描く家族はいつもちょっと変わっている。長めの、家族の話はこの作品が最初じゃないかと思う。ちゃんと調べてないけど。
このあとの「神様のボート」、「左岸」、「抱擁、あるいはライスに塩を」では、家族という集合体が主人公のようになっている気もする。


「流しのしたの骨」では、そよちゃん、しま子ちゃん、こと子ちゃん、律くん、の4兄妹に、素敵なお父さんとお母さんがでてくる。
だれが読んでも、この家族はちょっと変わっている、と感じるんじゃないかと思う。でも自分の家族のことを考えてみると、それなりに変わっている気がする。だから、個々の出来事に共感するわけじゃないんだけど、全体としての家族に共感しちゃう。


ちょっと引用したいな、と思っても、なかなか難しい。家族の雰囲気は短い文章で語られるわけじゃなくて、もうちょっと長い流れで語られているから。
これはあとがきから。

たとえお隣でも、よそのうちは外国よりも遠い。ちがう空気が流れている。階段のきしみ方もちがう。薬箱の中身も、よく口にされる冗談も、タブーも、思い出も。
それだけで、私は興奮してしまいます。

あと、深町直人はかっこいい。


流しのしたの骨 (新潮文庫)
江國 香織
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