舟を編む

三浦しをんの「舟を編む」を読了した。読み終えて、日本語が、言葉が、これまで以上に好きになった。
辞書の編集に関わるひとたちの物語で、もちろん辞書の編集についてはほとんどなにも知らずに読んだ。でもこんな一節があると、興味がひかれていく。

「なぜ、新しい辞書の名を『大渡海』にしようとしているか、わかるか」
<中略>
「辞書は、言葉の海を渡る船だ」
魂の根幹を吐露する思いで、荒木は告げた。「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」
「海を渡るにふさわしい舟を編む

舟を編む

本を好きなひとって、子供の頃から本が好き、というひとが多いような気がする。でも僕は小学生のころほとんど本を読まなかった。国語の成績もすごく悪かった。残念ながら。本を読むようになったのは、中学生くらい。
それもあって、辞書はあまり読まなかったと思う。でもこの作品には辞書や言葉との関わりが少なかったひとたちも登場する。そして、いろいろなきっかけで辞書と関わり、どっぷりはまっていく。
いまの家には辞書がない。一冊くらいは、置いておきたいと思った。


舟を編む
舟を編む
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三浦 しをん
光文社
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