ゴールデンスランバー

伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」を読了した。
タイトルはビートルズの同名の曲から引用されている。


伊坂幸太郎さんの作品で、文庫になったものは大体読んでいる。
どれもはずれがなくとても面白い。
いつもどおりではあるのだが、出てくるひとたちがいきいきとしていて、ひとつひとつの事柄がしっかりと描かれている。
そしてページが残り少なくなるにつれ、結末への期待が高まり、よい意味で期待を裏切られる。


Golden Slumbers は直訳すると「黄金のまどろみ」と本文にあった。
ビートルズはけっこう好きで、高校生や大学生のころよく聞いていたのだが、この曲は知らなかった。

ビートルズの他の曲もたくさん本文中にでてきた。
Abbey Roadはもっていないので、ちょっと欲しくなった。
「黄金のまどろみ」って、なんだかうっとりしてしまう響きだと思った。作品を読むと、その「黄金のまどろみ」と現実の対比を突きつけられるけど。


「眠り」つながりで江國香織の「泣かない子供」の「眠る」という文章を思い出した。短い文章だけどこれもとても好きだ。

あらゆる動詞の中で、いちばんうっとりする動詞。言葉の響きも佇たたずまいも、とけそうでしずかで、まるでゆめのよう。まるくて地味な飴玉あめだまに似ている。私はいくらでも眠れるし、眠っている人をじっと見ているのも好きだ。

泣かない子供


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