真昼なのに昏い部屋

江國香織の「真昼なのに昏い部屋」を読了した。ですます調で書かれている、ちょっと不思議な作品。
江國さんの作品を、端的に表現することはとても難しい。多くの作品は恋愛小説といっても間違いではないし、そのうちのいくつかの恋愛は不倫だったりもする。
でもそれらの単語と物語はうまく紐付かない。まあ、僕の語彙力に大きな問題もあると思うけど。


もうちょっと頑張って表現すると、いまの場所から違う場所に行く、ということが書かれているのだと思う。「神様のボート」では舫いをほどいて、「左岸」では遠くへ、「真昼なのに昏い部屋」では世界の外へ。


海へ出るつもりじゃなかった 。これはアーサー・ランサムの小説タイトルで、「神様のボート」のあとがきで紹介されている。同じあとがきにこんな一節がある。

でも、もしそれが神様のボートなら、それはやっぱり、どこかに舫われているべきではない。
私はそう思いました。それで綱をときました。ボートがどこに着くにしても。

神様のボート

同じようなものが、通底している気がした。


真昼なのに昏い部屋
真昼なのに昏い部屋
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江國 香織
講談社
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