最後の冒険家

石川直樹の「最後の冒険家」を読了した。
石川さんの写真はちょこちょこ見ていたけど、文章を読んだのははじめてだった。
僕は写真の感想を言語化することができない。もっと正確に言えば、良い写真というものがわからない。写真を見て、いいなと思ったり、たまに感動することはある。絵画についても同様で、素晴らしさがわからない。残念ながら、全然わからない。だけどそれが文章であれば、写真や絵画よりは言語化できる。と思う。


本書では熱気球で太平洋横断に挑戦して、行方不明になってしまった神田道夫さんの記録が綴られている。
前半はある程度抑えられた文章で、それでも神田道夫の偉業は十分に伝わってくる。熱気球といった特殊で専門的な分野を、わかりやすく解説できるだけですごい。
太平洋横断は2回挑戦していて、2回とも失敗している。そして2回目に行方不明となった。石川直樹は1回目の太平洋横断で熱気球の副操縦士として同乗し、神田道夫と2人で挑戦し、失敗している。2回目は神田道夫の単独飛行だった。
1回目の挑戦以降の文章は、それまでとは異なるように感じた。感情の片鱗が見えるような、冷たかったり、熱かったり。このギャップや揺らぎに惹きつけられたのかもしれない。
他の文章も読みたいし、写真ももう少し観てみたいと思った。


読みながらヘミングウェイの「老人と海」を思い出した。ゴンドラが流れ着いたところとか、なんとなく。
ほぼ日に石川さんのインタビューや写真が掲載されている。よろしければ。


最後の冒険家 (集英社文庫)
石川 直樹
集英社 (2011-09-16)
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