武士道エイティーン

誉田哲也の「武士道エイティーン」を読了した。
武士道シックスティーンと武士道セブンティーンのエントリはこちら。

ラスト(たぶん。もちろん武士道ナインティーンがでたら読みたい)に相応しい一冊だった。
時間をおいて、もう一度読みたいと思うくらい面白かった。これまでの流れから、武士道エイティーンではインターハイの決勝戦がメインになるのだろうと思っていたら、そんなことはなかった。剣道や武士道を通じて、より人間が描かれていた。そういった意味で、インターハイというはひとつの通過点だった。もちろんどちらが勝つのか、どきどきしながら読み進めたけれども。
そしてこれまであまり描かれていなかったひとたちのサイドストーリーが、物語全体に深みを与えてさらに引きこまれてしまった。
そのサイドストーリーのひとつに「シュハリ!」という章がある。ちょっと長いけど引用する。

「そう……私、最近そういうのすこい好きで、けっこう調べるんだけど……まず、最初の守。これは、お師匠とか流派の教えを、守る。徹底的に守る、ってこと。当然だよね……でもそれが身についたら、今度は、別の流派の技術とか、自分なりのやり方を、試してみる。要するに、最初の教えを破ってみせる。これが、破……破るって、ちょっと嫌な言い方だけど、でもいい意味で、はずれてみる。で、それが形になったら、最後は、自分なりのオリジナルを創出して、もとのお師匠や、流派から離れていく。これが、離……そういう、修行の過程を表した言葉なのね」

武士道エイティーン

これを読んで、この作品を通じて、香織も「守破離」を行っていたんだと気づいた。その過程に惹かれて、読み進めておいたんだろうな、と思った。