恋愛寫眞―もうひとつの物語

市川拓司の「恋愛写真―もうひとつの物語」を読了した。友達がレビューを書いていて、気になって読んでみた。
Amazonの商品概要を読むと、壮大にネタバレしている。レビューでネタバレはあるけど、商品概要でとは…。あとAmazonの評価がすごく高い。不思議なくらい高い。
超要約すると、「登場人物たちは大学生で、それぞれ一方通行な恋をしていて、気持ちが変化したときには状況も変わっていて、結局恋はうまくいかないし、最後は病気で死んでしまう」という感じ。
ストーリー自体は比較的平凡なものだけど、読ませどころでしっかり読ませる。9割は平凡だけど、残りの1割の部分がすごくいい。多少文学的表現が気になること(甘くないザッハトルテのような横断歩道とか)があったり、設定がそこまで行かされていないと感じること(彼女は嘘つきだった)があったけど、押さえどころをしっかり押さえている。あとは写真を撮るシーンが、もう少し多くて、もう少し細かくてもいいかなと思った。でも悪くない。


この本と同じように、「ストーリー自体は比較的平凡なものだけど、読ませどころでしっかり読ませる」と感じる作品がたまにある。僕にとっては「クローズド・ノート」や「一瞬の風になれ」とか。
こういう作品って、読み終わるとちょっといい気持ちになれる。全体的に悪くないけどまったく印象に残らない、というような作品よりはずっといい。


恋愛写真―もうひとつの物語
市川 拓司
小学館
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